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入門『攻殻機動隊 』

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どうもこんにちは。今回は日本が生んだサイバーSFの金字塔『攻殻機動隊(以下攻殻)』についてお話しますね。

攻殻といえば、最近スカーレット・ヨハンソン主演でハリウッド映画化されたことも記憶に新しいですが、皆さんは、この攻殻についてどれくらいご存知でしょうか?え、なんだかややこしくて難しそう?マニアックっぽくて近寄り難い?

いやまぁ、その通りなんですけど…

しかし…しかしですね!この攻殻は日本発の作品であるにも関わらず、海外でも多くの評価を獲得して、一般のSFファンのみならず作家達にも多大な影響を及ぼした、実はすごいSF作品なんですよ。

ターミネータージェームズ・キャメロンを始め、ギレルモ・デル・トロ、そしてウォシャウスキー兄弟など、映画業界でもそのフォロワーは数多く存在します。特にウォシャウスキー兄弟なんかは、この攻殻に影響を受けすぎて、攻殻の世界観を下地にあのマトリックスを作り上げたくらいです。マトリックスは、攻殻無くしては決して生まれなかった映画なんですね。

ね?そう考えると、結構興味湧いてきません?湧いてこない?そ、そうですか…。

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まあとにかく、SF映画が好きなら恐らく楽しめる内容だと思うので、簡単ではありますが内容や世界観について紹介していこうと思います。

しかし攻殻というタイトルは、関連作品があまりにも多く、どれを最初に見ればいいのか困るのも事実。私は一応、シリーズ作品は(実写を含めて)全て目を通しているので、僭越ながら、「こういう世界観だよ」&「この順番で見るといいよ」のガイドラインを作ってみました。それでは参考までにどうぞ。

 

攻殻の世界観』

まず基本的な情報として、攻殻は数多くのサイボーグが登場するサイバーSFものです。サイボーグSF映画の代表格ターミネーターを筆頭に、「サイボーグ人間が登場する」ということ自体に、そこまで斬新さはありませんが、劇中におけるサイボーグの扱われ方が主に

人間だと思っていたあいつが、実は…!

といったものが主流だった中で、一般市民や老人、子供までもがサイボーグ化し、サイボーグ化することが生活の一部として一般に浸透している攻殻の世界観は、漫画・アニメ作品としてはかなり斬新でした。

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というのも、攻殻におけるサイボーグ化は、主に戦闘よりも延命や身体機能の強化といった「医療行為」として扱われているからなんですね。我々が住む現実世界における「義手・義足の全身化」として考えると、少し分かりやすいかもしれません。ちなみにそうやって自分の身体を機械にコンバートすることを、作中では「義体」と呼んでいます。

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そして攻殻の世界ではもう一つ、当時としてはかなり斬新な設定が登場しました。それこそ、「電脳化」です。

電脳化とは、まあ要するに、脳みそを機械化することです。分かりやすく例えるなら、頭の中にiPhoneが入ってるって感じですね。常にリアルタイムでネットと繋がり、記録も記憶も思いのままです。電脳化すれば、電話もスマホもいりません。便利です。

しかしその弊害というかなんというか、現実でネット上にウイルスソフトをばら撒く人間がいるように、攻殻の世界にも電脳空間上に数多くのコンピュータウイルスが存在します。パソコンだったら「あーあ、壊れた…」で済む話ですが、脳が直接ネットと繋がった状態ではそうもいきません。一度ウイルスに侵入されると、かなり厄介なことが起きてしまいます。それこそ、記憶を改ざんされたり視界を乗っ取られたり勝手に身体を操られたり、最悪、ウイルスの汚染が原因でに至ることすらあります。とても怖いですね。

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電脳をハッキングされると、目に見えるものすら別のものに見えてしまうことも…

攻殻の世界で発生する犯罪行為のそのほとんどは、この電脳汚染(ハッキング)を使った電脳犯罪です。主人公草薙素子とその仲間たちは、それを取り締まる警察官、法の執行人として犯罪者たちを追いかけます。言い忘れてましたけど、この作品一応「刑事もの」なんですね。

 

『“攻殻機動隊”って…?』

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攻殻に触れたことのない人からすれば、そもそも「攻殻機動隊ってなに?」と思うかもしれません。攻殻機動隊というのは、警察内部に存在するある特殊部隊につけられた俗称のことで、その正式名称は「公安9課」と言います。

内務省・首相直属の対テロ攻性組織であり、テロ事件における強襲作戦や、場合によっては防諜活動なんかも行う超法規的な秘密部隊、それが攻殻機動隊です。アニメでは常に出突っ張りなのであまり秘密感はありませんが、基本的にこの人たちは表舞台には存在しないことになっている闇の部隊、分かりやすくいえば、忍者みたいな存在なんです。

日本のみならず、世界にも警察内における特殊部隊は実在していますが(日本におけるSAT、アメリカにおけるSWATなど)、この攻殻機動隊はそれらの組織よりも遥かに制約が少なく、基本的な命令さえ守れば、あとは各隊員の独自の判断で行動することが許されています(本当は許されてないですけど)。犯罪の芽を摘むためであれば、先制攻撃を行う事すら黙認されるという、日本の警察なら絶対に許されないことも行える独立組織、それこそが攻殻機動隊です。

因みに構成メンバーは、隊長である草薙素子ヘッドハンティングしてきたワケありの札付きたちばかり。なので、公務員的な風紀は皆無です。

『シリーズ作品たち』

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ここまでで、攻殻の世界観と「そもそも攻殻機動隊って何の組織?」ということについて、ざっくりと説明できたと思います。他にも細かい設定等色々ありますが、だいたいこの辺の情報さえ抑えておけば、見ていて「全く話が分からない!」ということにはならないんじゃないでしょうか。というわけで、基本情報も紹介したので、ここから先はシリーズの発端となった原作漫画や、各アニメ作品、そして実写版などについて触れていきたいと思います。なお、あくまで私自身の主観で語っているため、各作品のオススメ度(評価)については参考に留めておくと良いと思われます。それでは、いってみましょう。

 

『原点にして原典』

個人的オススメ度【★★☆☆☆】

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攻殻の全ての始まりは、士郎正宗さんが描いた漫画「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL(1989)」からです。全身を機械の身体にサイボーグ化した人間達が登場する、サイバーパンクアクションものとして、発表当時注目を集めました。

この漫画版についてですが、数々の関連作の中である意味最も難易度が高いです。というのも、情報量は多いわ、内容はマニアックだわ、おまけに過激な性描写もあるわ等々、とにかく一般向けとは言い難い内容に仕上がっています。実写版を見た後にうっかり「原作も読んでみようかな」なんて軽い気持ちで手を出したら、間違いなく後悔することでしょう。世界観をより深く理解するためには欠かせないこの原作本ですが、全シリーズ中最も上級者向けなので、読むならある程度覚悟してください。ちなみに続編として『攻殻機動隊1.5 HUMAN-ERROR PROCESSER』と『攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE CONTROL PREFERENCES』が存在しますが、こちらは更に難易度が上がっています。

 

『初の劇場アニメ化』

個人的オススメ度【★★★★☆】

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はい、こちらはレンタルショップでよく見かけるなんかお硬そうなSFアニメこと「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」です。公開は1995年で、監督は押井守。パッケージからいかにも難しそうな雰囲気を察した人、正解です。

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この映画はかなり難解かつ、お堅いハードボイルドSF映画。何の予備知識もなく見た場合は、大抵「つまりどういうことなの?」となること請け合いですが、まあ要するにブレードランナーみたいな話です。人とは?神とは?自意識とは?ネットとは?そういったことをひたすら自問自答する禅問答のような作品ですが、シリーズ中最も人気が高く、最も海外ウケしたのがこの映画。

内容的には難しいのであまり初心者におススメできませんが、要するに「身体全部が機械化しちゃったら、自分は人間なの?それとも機械なの?魂はどこに存在しているの?」というのを、電脳犯罪と絡めながら1時間半で描いた内容です。アクションシーンはシリーズ屈指の迫力なので、単純にそれ目当てに見てみるのもいいかもしれませんね。ちなみに、この映画には続編が存在しますが、それについては後ほど。

 

『初のテレビアニメ化』

個人的オススメ度【★★★★★】

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こちらはテレビアニメ版「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」通称“S.A.C”です。2002年にスカパーで放送され、劇場版GHOST IN THE SHELLとは違ったテイストで新たな層を取り込み、人気を集めました。監督は「精霊の守り人」「東のエデン」の神山健治。哲学的で難解だった劇場版と比べ、ポリティカルアクション色強めな娯楽作として、かなり見やすい内容に仕上がっています。車両や背景、その他エフェクトなどにCGを積極的に使っているのも特徴ですね。演じるキャストは同じですが、内容的には劇場版とは全く繋がっていないパラレルワールド設定なので、これから見始めても全く問題はありません。もし攻殻に興味を持っているなら、私ならこれから入るのをおススメします。劇伴を担当する菅野よう子さんの音楽もカッコいいですよ。

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ちなみにですが、攻殻のマスコットキャラとして定着している多脚戦車タチコマ(フチコマ)はこのアニメで初登場を果たします。タチコマはもともと原作にも存在しますが、ギャグを出したくない押井守監督の判断で、映画版ではあえなくカットとなりました。

 

『テレビアニメ第二期』

個人的オススメ度【★★★★☆】

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STAND ALONE COMPLEXの続編、「攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG」通称「2nd GIG(セカンドギグ)」です。S.A.Cの2年後である2004年に放送されました。物語は前作から2年後という設定で、「個別の11人」を名乗るテロリストの事件を追うため公安9課が再び結集する話です。いやまあなんていうか、かなり面白いしよく出来てもいるんですけど、前作があまりにも面白すぎたせいで、相対的に評価が下がる内容になってます(笑)主人公である草薙素子を始め、公安9課のメンバーたちの過去話も途中に挟まれるので、そこも見どころの一つだと思います。

 

伝説再び、GHOST IN THE SHELLの正統続編』

個人的オススメ度【★★★★★】

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2004年公開の長編映画イノセンス」です。監督は押井守。アニメシリーズの原点であるGHOST IN THE SHELLの3年後を描く正統続編ですが、何故かタイトルに「攻殻」も「GHOST IN THE SHELL」も一切入っていません。おかげで攻殻のファンも、そうでない人もみんな混乱しましたが、このタイトルでいこうと決めたのはジブリ鈴木敏夫プロデューサーだそうです。内容は前作に輪をかけて難解になり、はっきり言って上級者でも難しい内容ですが、物語の深淵さや映像の凄さはシリーズ随一。簡単に要約すると、「好きな人が神様になってしまって、もう現世では二度と会えないことに絶望した中年男性の悲哀の物語」ってところです。人生に疲れたおじさんが観ると、泣けるんじゃないでしょうか。ちなみにS.A.C.シリーズとは一切の関係がないので、その辺把握しておかないとかなり混乱すると思います。個人的には全シリーズ中一番好きな作品です。

 

『S.A.C.シリーズ初の長編作品』

個人的オススメ度【★★★☆☆】

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テレビアニメ1期、2期に連なる続編にして(現時点での)完結編、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』タイトル長すぎだろって感じですが、通称は「SSS」です。公開は2006年で、物語の舞台は2nd GIGから2年後となります。孤独死する老人など日本社会の闇をテーマに、傀儡廻という謎のハッカーを追いかける話です。面白いは面白いんですけど、前作、前々作が面白くて相対的に…という作品。せっかく2期まで見てるなら、見ても損はないんじゃないでしょうか。

 

『初のOVAシリーズにして前日譚』

個人的オススメ度【★★☆☆☆】

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SSSから結構空いて、2013年に作られたOVAシリーズ『攻殻機動隊 ARISE』です。監督は押井作品で常連のベテランアニメーター黄瀬和哉。ストーリー構成を作家の冲方丁さんが担当しています。位置付け的には押井版ともS.A.C.シリーズとも関係ない番外編的なシリーズ。全4話+1話の5話構成で、公安9課が結成に至るまでを描きます。アニメーター出身の人が指揮を取るだけあって、アクションシーンは中々迫力満点ですが、ストーリー的にはなんだかなぁ…な作品。ちなみに声優はこれまでのシリーズから全取っ替えとなっていて、この辺は当時賛否を集めました。攻殻というよりも、攻殻風のSFアニメというのが私の印象。

 

『まさかの映画化、その名も“新劇場版”』

個人的オススメ度【★☆☆☆☆】

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2015年公開の劇場映画、『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL 新劇場版』です。そのあまりにツッコミどころが多すぎるタイトルに、誰もが頭に「」を覚えた劇場作品。GHOST IN THE SHELLの続編ではないし、リブート作品でもありません。あくまでARISEの完結編です(なんでこんなタイトルにしたんだ?)。内容に関して特に語ることはありません。ゲスト声優にEXILENAOTOさんが出演していました。見るかどうかは、皆さんの判断にお任せします。

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このキャラです

 

『ついに実写化、GHOST IN THE SHELL再び!』

個人的オススメ度【★☆☆☆☆】

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2017年公開の実写映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」です。監督は「スノーホワイト(2012)」のルパート・サンダース。主演はアべンジャーズなど近年話題作への露出が増えるスター女優スカーレット・ヨハンソン。主人公草薙素子の上司、荒巻役になんと北野武を抜擢。みんな英語で会話する中、一人日本語で喋ってる姿は中々に衝撃的です。内容はまぁ、よくあるハリウッド映画って感じです。位置付け的には、一応押井守GHOST IN THE SHELLをベースにした実写版となります。怖いもの見たさで見てもいいんじゃないでしょうか。

 

『まとめ』

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以上、攻殻機動隊関連作品でした。こうして一気に見てみると、かなりの数がありますね。いやはや、攻殻の海は広大です。

個人的な主観に基づく「これだけは見ておけ!」というシリーズは、やはりS.A.Cでしょうか。原作ファンや押井守ファンからは賛否を呼んでいますが、とにかく分かりやすく、おまけにストーリー自体も非常に完成度が高いのでおススメです。製薬会社の隠蔽事件、官僚汚職模倣犯によるテロ、ネット社会の闇など、現代人にとってどこか馴染み深い事件が多いので、単純に刑事ものとしても見れますよ。

26話も観るのは面倒くさい!という人は、とりあえずGHOST IN THE SHELLだけ見ておけばいいと思います。

それでは、この辺でそろそろ終わりとします。攻殻の魅力、少しでも伝わったでしょうか?ちなみに来年以降になるようですが、荒牧伸志×神山健治両監督のタッグで新作アニメを準備中とのこと。インタビューによれば、シリーズ初となる全編3DCGになるそうです。楽しみですね。

【おまけ】

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こちらはPS1用ゲームソフト『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』内のアニメーションパート。監督は「BLOOD THE LAST VAMPIRE」「老人Z」の北久保弘之。加えて音楽は石野卓球と、短いながらも製作スタッフは超豪華。映像ソフト化はされていませんが、原作漫画の雰囲気を完全再現した高品質なアニメは一見の価値有り!

攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL

攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL