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主に映画の話しかしません。

好きな映画『マッキラー』

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好きな映画の紹介でも。今回はルチオ・フルチの「マッキラー

ルチオ・フルチといえば、「サンゲリア」「地獄の門」「ビヨンド」といった残酷系マカロニホラーのイメージが強く付き纏うものの、残酷路線でブレイクする以前の作品ということもあり、本作ではそういったゴア要素は(比較的)なりを潜め、あのフルチが撮ったとは思えないほどコンパクト且つ上品(フルチにしては)な仕上がりになっている。

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イタリアのど田舎農村で起きた、少年のみを狙った不気味な連続殺人事件。容疑者筆頭として真っ先に疑いの目が向けられたのは、呪術を使い人を呪うと噂される女「マッキラー」だった。中々進展を見せない警察の捜査に業を煮やした被害者遺族は、鎖を片手に彼女に集団リンチを仕掛けるのだが、真犯人は他にいて…。というのが、大まかなあらすじ。

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この映画は一見真犯人を探し当てるサスペンス描写が売りに映るものの、その真の素晴らしさは、マッキラーを惨殺する村人たちの集団ヒステリー描写の秀逸さにある。陽気なギターリフをバックに、罪もないマッキラーが男たちに嬲り殺される様は、「猜疑心や思い込みは人を殺す免罪符になり得る」という、人間の恐ろしさと愚かさを的確に表現している。

事件の真相や、真犯人が発覚するまでの道筋に関しては、いつものフルチらしく相変わらずのいい加減さが滲み出ているものの、いい加減さや意味不明さも、ある種ジャーロの味というか「らしさ」なのでさもありなん。

ちなみに「絵面の凄惨さに反してカッコイイBGMを流す」「身分や権力(大義名分)を傘に強者が弱者を虐げる」という本作の図式は、クエンティン・タランティーノの作品でもよく見かけられる光景だが、実際その影響力は本人にとっても公認らしく、2004年に開かれた第61回ヴェネチア国際映画祭で、イタリア映画裏史的なB級映画20本の一本として、タランティーノ自ら本作を選定している程である。

ただのマニアックビデオと侮ることなかれ。隠れた傑作映画、それがマッキラー!惜しむらくは、店頭でもネット上でもレンタルが見当たらないという日陰者具合だろうか。

マッキラー -HDリマスター版- [Blu-ray]

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