その辺の趣味ブログ

主に映画の話しかしません。

好きな映画『甘い生活』

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好きな映画の紹介でも。今回はフェデリコ・フェリーニの「甘い生活

フェリーニのフィルモグラフィ史上、この作品ほど重要な一本もない。それまで「道」「崖」「カビリアの夜」など、ガチガチのネオレアリズモ…遊びも少ない真面目な映画ばかりを撮っていたフェリーニにとって、この作品は後の大傑作「8 1/2」や、空前の都市芸術映画、「ローマ・サテリコン」へ通じる試金石となった。具体的なことを言えば、フェリーニはこの作品から映画で遊び始め、徹頭徹尾自分のために創作を楽しむようになったのだ。

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1950年代後半のローマ、ゴシップ記者マルチェロは取材の中で贅に溺れる退廃的な上流階級の生態を目撃する。その破廉恥な様相に嫌悪感を抱くマルチェロだったが、自らも彼らとの交友を楽しむ内に、次第にマルチェロ自身もその場限りの乱痴気騒ぎや、危険なアバンチュールの日々に堕ちていく…。

浮気、退廃、堕落、芸術、女・男にパパラッチ…フェリーニにとっての好きなものと嫌いなもの、そのどちらも一緒くたに混ぜ込んだ本作のカオスさは、中々言葉では言い表し難いものがある。この作品と次作の「8 1/2」は、いずれも狂騒的な周囲に辟易しておかしくなる男を描く内容となっているが、これは要するに、当時のフェリーニ自身のことだ。

物語中盤、仕事に疲れ、女房との関係に疲れ、ローマという街そのものに疲れ始めたマルチェロ(フェリーニ)の元に、アメリカからやってきた絶世の美女シルヴィア(アニタ・エクバーグ)が現れる。まるで天使のように笑い、歌うように言葉を紡ぐ彼女を追いかけ、いつの間にやらマルチェロがたどり着いたのは、ローマ一の観光名所トレヴィの泉。水浴びをする彼女の姿は、まるで宗教画から飛び出した女神のごとき美しさ。

堕落と退廃の中に見た、一瞬だけの白昼夢。フェリーニが生涯追い求めた美とエロスの桃源郷が、このワンシーンには詰まっているのだ。

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これぞ映画。これぞフェリーニ

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