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主に映画の話しかしません。

好きな映画『博士の異常な愛情』

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好きな映画の紹介でも。今回はキューブリックのブラックコメディ「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

スタンリー・キューブリックが送る、世界滅亡までのカウントダウンショー。そしてブラック・コメディ。以下はあらすじ。

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とある近未来。アメリカ軍基地の司令官が、ソ連の核施設に爆撃指令を発した。司令官の狂気を知った副官は、司令官を止めようとするが逆に監禁されてしまう。大統領は、ソ連と連絡を取って事態の収拾を図るのだが、迎撃機によって無線を破壊された1機が、ついに目標に到達してしまい……。

この映画が公開されたのは1963年だが、その前年、冷戦の真っただ中であった当時の米ソは、映画と同じく本当に世界を滅ぼしかける危機的な事態に直面していた。いわゆる「キューバ危機」である。

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キューバと極秘に軍事協定を結んでいた当時のソ連が、キューバ国内に核を持ち込もうとした世紀の大事件は、米国との間に一触即発の対立関係を生み、判断一つ誤れば、即核戦争が勃発する寸前にまで緊張は高まっていた。

この映画で描かれる核戦争勃発の理由は、聞いたところで「なんじゃそりゃ?」と冗談にしか聞こえない馬鹿馬鹿しい陰謀論なのだが、現実世界における米ソの関係が関係であったために、「世界を裏で操ろうとしているのは共産主義者」という認識事態、当時のアメリカにおいて特段過激でもない通説としてまかり通っていたらしい。そういった理由からも、本作で描かれる内容は一概に「フィクション・ジョーク」と言い切ることはできないのが恐ろしい。

まるで冗談のような理由で世界が滅びかけた現実世界に対し、皮肉を込めて作られた本作だが、映画の中で登場するソ連が作った架空兵器「皆殺し装置」という報復装置は、映画公開後の凡そ20年後、実際に開発されていたことが白日に晒され世界に大きな衝撃を与えた。まさに、現実は小説より奇なりだ。

この映画、原題は「Dr. Strangelove(ストレンジラブ博士)」と人名を表すもので、「博士の異常な愛情」というのは誤訳なのだが、結果的に意味は通ってる上にインパクトも抜群なので、これはこれでよかったのかもしれない。