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好きな映画『時計じかけのオレンジ』

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好きな映画の紹介でも。今回はキューブリックの「時計じかけのオレンジ

その過激な内容から、公開後イギリスでは26年に渡って上映及び映像ソフトの発売が禁止となった問題作。以下はあらすじ。

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近未来、毎日のように暴力やレイプに明け暮れていた不良グループの首領アレックスは、ある殺人事件で仲間に裏切られ、ついに投獄させられてしまう。そこで彼は、攻撃性を絶つ洗脳の実験台に立たされるが…。

「名作名作と言われるけれど、実際に見てみるとなんだかよく分からない」との呼び声も高いスタンリー・キューブリックの代表作。確かに、登場人物には共感しづらいし、話は二転三転するしで分かりづらいのは事実なのだが、結局この映画で描かれるテーマは「個人のアイデンティティ」というシンプルなものに他ならない。

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社会が掲げる規範、規則を遵守することで人間は社会性を身につけていくわけだが、それは果たして、個人の自由や人間性の獲得と直結していると言えるだろうか?自分を押し殺し、個性を抑えて社会の奴隷となるよりも、反社会的の烙印を押されようと、自分の欲望に忠実な人間の方がよっぽど人間らしいに違いない。

社会全体に蔓延する価値観、常識、ルール。人はそれらを守ることで周囲と自分を擦り合わせて生きていくわけだが、その代償として個性や表現の自由を失っていく。ロンドンの下町言葉には「Queer as a Clockwork Orange(時計じかけのオレンジのように奇妙な〜)」という言い回しがあるが、これは要するに、表面上は普通に見えて、その実何を考えているか分からない人間、自分を押し殺して生きる人間のことを指している。

この作品は、暴力やレイプを礼賛する映画ではない。だが、個人に対する社会の矯正を認めているわけでもない。ただ、寡黙で真面目な社会の奴隷より、欲望のままに暴れてる人間の方が幾分か人間らしいという皮肉を描いた、ブラックジョークの映画なのだ。