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主に映画の話しかしません。

好きな映画『ブレードランナー』

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好きな映画の紹介でも。今回はリドリー・スコットの代表作「ブレードランナー

フィリップ・K・ディックの小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を原作とする近未来を舞台にしたハードボイルドSF。その退廃的かつ斬新なヴィジュアルイメージは、ブレードランナー以後と以前という概念を作ってしまうほどに、後のSFカルチャーに大きな影響を与えた。以下はあらすじ。

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植民惑星から4体の人造人間=レプリカントが脱走した。彼らの捕獲を依頼された“ブレードランナーデッカードは、地球に潜入したレプリカントたちを追うが……。

浮世離れしたショッキングなビジュアルイメージや哲学的な要素、そしてレプリカントという人工生命体に対する倫理と道徳など、複雑な設定やテーマが絡み合うおかげで、一体何が物語の核であるのか見え辛い本作だが、その根底にあるのは映画「フランケンシュタイン」で描かれた「自己の存在理由の追求」と、行き過ぎた文明社会の暴走を描いたフリッツ・ラングの「メトロポリス」との融合だ。

映画「フランケンシュタイン」で登場したフランケンシュタインの怪物は、創造主であるフランケンシュタイン博士の「完璧な人間を作り出す」という野望の元生み出された人造人間。だが、理想とは程遠いそのおぞましい容姿が故に、怪物は博士に捨てられてしまう。主人公デッカードが追いかけるレプリカントたちの境遇はまさしくこれと同じであり、自分の自由意思とは関係なく命を与えられ、嘆き悲しみ苦しむその姿は、まさしく未来世界のフランケンシュタイン(の怪物)と呼ぶに相応しい。

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技術と文明の栄華によって乱立する高層ビル群や、その頂点に立つ神のような男タイレルの姿は、ラングの古典SF「メトロポリス」にその原型を見ることができるが、「神に挑む反逆者(レプリカント)たち」という構図自体は、ダンテの神曲における悪魔の軍団と神との闘いの様子がベースになっている。

物語終盤において、レプリカントのリーダーロイ・バッティは、生みの親であり神でもあるタイレルの口から運命(死)には抗えないという残酷な事実を告げられる。だが、それでもなお屈することなく、最後まで自分の運命(人生)相手に抵抗を続けたその姿は、神との闘いに勝利はないと悟った上で、命尽きるまで抗おうとした堕天使ルシファーの気高さを思わせる。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))