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主に映画の話しかしません。

好きな映画『マイマイ新子と千年の魔法』

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好きな映画の紹介でも。今回は片渕須直監督の「マイマイ新子と千年の魔法

ミリタリーアクションから児童文学まで、幅広い芸風を持つ元ジブリ出身の秀才、片渕監督が送るある視点(子供)の物語。以下はあらすじ。

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小学3年生の新子は、山口県の片田舎に住む普通の女の子。友だちや家族に囲まれ、この町にあった平安時代の地方の国の都「国衙」について空想することが好きだった。そんなある日、東京から貴伊子という生徒が転校してくる。貴伊子が気になった新子は、次第に親しくなっていくが……。

空想好きの祖父の影響を一身に受ける平凡な女の子新子は、畑や山に繰り出しては目に見えない空想の友達相手に競争をしたり、睨めっこをしたりと毎日大忙し。タイトルに「魔法」と付いているために、ファンタジー作品よろしく魔法や奇跡が登場するかと思いきや、本作にそれらの類は一切絡んでこない。新子が見て、聞いて、感じる不思議な世界は、かつて誰もが持っていた「子供の視点」を通して描かれたものだ。

日本アニメーション界の巨匠、高畑勲の元で助手を務めた経験もある片渕監督が本作で目指したものは、師である高畑監督の「おもひでぽろぽろ」や「赤毛のアン」で描かれた「自然」と「自分探し(回帰)」。東京から越してきた内向的な女の子貴伊子は、活発で想像力豊かな新子と共に過ごすうちに、子供だけが持つ想像の力「マイマイ」を発現し、子供の世界を取り戻していく。だが、重い現実がのしかかることで、楽しい世界にも影が指し…

大好きな世界が「大人の都合」で壊されていく様子や、それでもひたむきに明日へ向かおうとする主人公たちの姿は、片渕作品共通のテーマであり、空想の素晴らしさと現実の厳しさを交互に描いた本作の内容は、次作の「この世界の片隅に」にも通じている。

念密な取材と研究によって描き出されるリアリズム、空想と現実を織り交ぜた作劇術。スタジオジブリが解散となった今、最もジブリの魂を引き継ぎ、高畑イズムを実践せんとする作家は、片渕須直監督を置いて他にいない。作品が完成した後、この映画を見た故・高畑勲監督は、何も言わずに片渕監督の肩を叩いたという。その胸中にあったのは、自分の後継者を見届けた喜びだったのか、それとも別の何かだったのか。

マイマイ新子と千年の魔法 [DVD]

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