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好きな映画『その男、凶暴につき』

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好きな映画の紹介でも。今回は北野武衝撃の長編処女作「その男、凶暴につき

孤独、暴力、そして破滅。その後のキタノ映画で繰り返し扱われるテーマが全編に散りばめられた、詩的で私的なノワール映画。以下はあらすじ。

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暴力的な異端刑事のその男、我妻は、麻薬組織の真相を探る為、組織や殺し屋たちと日々熾烈な攻防を繰り広げていた。だが、事件の闇が明るみになるにつれ、仲間は傷つき、自分も傷つき、属する警察組織の汚い部分が白日の元に晒されていく。次第に壊れていく我妻は、全てを清算するため、一人殺し屋たちの元へ向かうが…

元々は深作欣二監督、ビートたけし主演で製作する予定だった企画を、北野武が監督業も引き継ぐ形で再スタートさせた本作は、少年たちが公園でオヤジ狩りを行うという強烈なシーンから始まる。その後に続く、暴力に次ぐ暴力。そして狂気は、それまでコメディアンとしてのイメージが強かったビートたけしを、一躍暴力映画のカリスマへと一変させた。

本作のプロットは、ウィリアム・フリードキンの「L.A.大捜査線」を下敷きにしてあり、主人公我妻のキャラクター造形もそこから拝借されたものだが、アドリブの多い独特な台詞の応酬や、長回しを使った静的な画面作りは、それまでの映画で見かけられない不思議な空気感を作り出し、特に海外で高い評価を獲得した。

当時42歳にして役者デビューを果たしたたけしの怪演に注目が集まる本作だが、不気味な殺し屋を演じた白竜の獲物を付け狙う鋭い眼差しも見逃せない。後に続く「3-4x10月」「ソナチネ」「HANA-BI」「BROTHER」「アウトレイジ」は、全てこの映画の変奏として作られており、特に「ソナチネ」は企画当初「その男」の続編に位置付けられていた程に本作から強い影響を受けている。