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好きな映画『王と鳥』

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好きな映画の紹介でも。今回はポール・グリモーの「王と鳥

巨大な城と巨神兵、闇に燻る地下世界と、光り輝く地上世界。高畑勲宮崎駿に多大なる影響を及ぼし、「カリオストロの城」「天空の城ラピュタ」の原案ともなったフランスアニメ映画の傑作。以下はあらすじ。

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孤独な暴君シャルル16世が治めるタキカルディ王国。王が住む宮殿の最上階には、3枚の絵が飾られていた。美しい羊飼いの娘と煙突掃除の青年、そして王の肖像画。愛し合う娘と青年は、仲を引き裂こうとする王から逃げるため、ある晩絵の中から脱け出すが……。

アンデルセンの童話「羊飼いの娘と煙突掃除人」を元に、5年もの歳月と60億フランもの巨費を投じて作られた超大作映画。

わがままで冷酷な暴君に見染められた美しい娘を助けるため、羊飼いの少年は城を目掛けて駆け抜ける。栄華を極める王宮の様子と、比例するように暗くどんよりとした地下世界。宮崎駿の「カリオストロの城」や「天空の城ラピュタ」または「未来少年コナン」でも見られた「騎士と姫と暴君の物語」は、本作からの影響で生み出されたもので、まさしくスタジオジブリや宮崎アニメの原点がこの作品だ。

1952年に公開された本作は、その年のヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞を受賞し、55年には日本でも「やぶにらみの暴君」の邦題で公開されたものの、興行的には失敗に終わり、加えて製作の難航から、グリモーが本来意図する尺よりも短い上映時間で作品は完成となった。以降、30年の長きに渡ってリテイクとリメーク作業が加えられ、旧版の62分から87分へと変更された本作は、装いも新たに「王と鳥」として真の姿に生まれ変わる。

日本産アニメでは見られない詩的で美しい映像や背景は、美と芸術の国フランスならではのものといえるが、巨大ロボットが全てを破壊し尽くす終盤のスペクタルシークエンスは、どこか日本の怪獣映画を思わせるカタルシスに満ちている。

世界アニメ史に燦然と輝く、長編アニメーション作品の大傑作。本作の制作経緯や考察などは、高畑勲監督が手がけた『漫画映画の志ー「やぶにらみの暴君」と「王と鳥」』に詳しいので、興味があればそちらも是非手に取ってもらいたい。

王と鳥 [Blu-ray]

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