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主に映画の話しかしません。

好きな映画『もののけ姫』

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好きな映画の紹介でも。今回は宮崎駿監督の最高傑作「もののけ姫

構想16年、制作期間に3年を費やした意欲作にして超大作。この作品を期に、宮崎監督は長編からの引退を宣言した(後に撤回)。以下はあらすじ。

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山里に住む若者アシタカは、怒りと憎しみにより“タタリ神”と化した猪神から呪いをかけられてしまう。呪いを解く術を求めて旅に出るアシタカはやがて、西方の地で“タタラ”の村にたどり着く。エボシ御前が率いるその村では、鉄を造り続けていたが、同時にそれは神々の住む森を破壊することでもあった。そして、そんなタタラ達に戦いを挑むサンの存在をアシタカは知る。人の子でありながら山犬に育てられた彼女は“もののけ姫”と呼ばれていた……。

宮崎監督の集大成にして転換期の一作。未来少年コナンのラナ、カリオストロの城クラリスナウシカ、シータ、さつき、キキ、フィオ。今まで宮崎作品に登場した数々のヒロインたちが、穢れを知らない美しい処女ばかりだったのに対し、本作で登場するヒロイン・サンや、その他多くの人間たちは、誰も彼もが血と泥に塗れた「汚い」存在として登場する。

描かれるテーマや人間像も、これまでの作風からだいぶかけ離れたものとなっているが、その理由は、これだけ社会システムや人間関係が多様化し、交錯する現代社会の中で、勧善懲悪を使った作劇で物語に決着を付けたり、綺麗・醜いの二元論で人間を描いたりするやり方に限界を感じていたからだという。

この心境の変化は、足がけ12年かけて完結させた漫画「風の谷のナウシカ」の内容にも如実に現れていて、そのラストは善も悪も関係しない、結論のつけ難いものとなっている。この「善も悪も存在しない」というテーマをベースに、自然、文明社会、そして戦争という、ナウシカで描いてきた要素を合体させて生まれたのが「もののけ姫」であり、この作品はある種(アニメ版)ナウシカのやり直し、リメイクともいえる。

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社会の中で行き場を無くした人間、穢多非人や娼婦、そしてらい病患者などを集め、鼻つまみ者の楽園たたら場を作ったエボシ御膳は、自国の更なる繁栄を目指して自然界に勢力を伸ばす。一方、森の守り神として先頭に立つ大狼モロの君、そしてその娘であるサンは、一族や自然界の存亡をかけて徹底抗戦に命を燃やす。そこに仲裁として入ってくるのが、社会とは外れた存在である、独自文化の少数民族(というよりアイヌ民族)の青年アシタカ。彼ら全てに共通しているのは、多数派の中に居場所がなく、いずれ滅びる運命にあるということだ。

社会という大きな勢力(多数派)に、登場人物の誰もが属さない、言うなれば除け者同士が繰り広げるこの戦いは、やはり決着のつけようがなく、その行く末は「(相容れなくても)共に生きるしかない」と曖昧な結論で終わりを迎える。この結末や、物語の基本構造自体は、宮崎監督の師匠でありライバルでもある高畑勲監督の「太陽の王子 ホルスの大冒険」がベースとなっていて、宮崎監督の高畑作品に対する強い憧れが現れているものの、当の高畑監督は本作を「ファンタジーは現実を生きるイメージトレーニングにならない」と手厳しい批判を送ったという。

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