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主に映画の話しかしません。

好きな映画『メトロポリス』

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好きな映画の紹介でも。今回はフリッツ・ラングの古典作品にしてSF映画の原典「メトロポリス

天に向かってそびえ立つ摩天楼、項垂れ地面を見つめる地下労働者たち。都市の発展・栄華を維持するために労働が必要なのか。それとも、労働のために発展が必要なのか。答えは、誰にも分からない。以下はあらすじ。

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未来都市メトロポリスでは富裕層は地上で豊かな生活を送り、労働者たちは地下深くで過酷な労働に明け暮れる毎日。ある日、メトロポリスの支配者フレーダーセンの息子フレーダーは、労働者階級の娘マリアに出会う。一目でマリアに惹かれたフレーダーは地下深く彼女を追って行くが、そこで過酷な労働を強いられている人々を目の当たりにし衝撃を受ける。同じ頃、フレーダーセンは労働者の不穏な動きを察知し、発明家ロトワングの元を訪れる。労働者の様子を探りに2人は地下へ降りていくと、そこでは労働者たちが集まり、「いつか救世主が現れる」というマリアの言葉に聞き入っていた…。

科学の飛躍的な発展の結果、労働者たちは地下に押しやられ、巨大な工場で家畜同然に管理されている近未来。資本家たちは地上で享楽的生活を送り、労働者たちは劣悪な環境と困窮に喘ぎ苦しむ。大都市メトロポリスの支配者フレーダーセンの息子フレーダーは、地下に降りた際、自由も人権も存在しない彼らの悲惨な生活を知り、父に環境改善を直訴する。

一方、地下労働者のまとめ役マリアは、労使間に人間的な絆が皆無であることを仲間に訴え、労働者たちを一つにまとめ上げようと奮闘していた。だが、これがストライキの気運を生むことになると危惧したフレーダーセンは、マリアを誘拐し、彼女そっくりの人造人間を作って事態の収拾にあたるのだが、人造人間は狂い始めて……。

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母国ドイツから渡米した際、ニューヨークにそびえ立つ巨大な摩天楼群に衝撃を受けたという、ラング自身の体験を基にして生まれたこの映画は、その圧倒的かつモダンなビジュアルと、搾取と労働の社会構造を巧みに暴いたストーリーが、観客や後陣のクリエーターに大きな衝撃を与えた不滅の傑作だ。

作中に登場する数多くの特撮描写は、その斬新さから後に生まれるSF映画にとってのお手本、教科書となり、今でこそ常識となった画面越しにリアルタイムで会話するスクリーンフォンや、人間に模した自動人形…いわゆる「人造人間」の動く姿などが、本作によって映像史上初めて扱われた。

また、その都市イメージは後に「ブレードランナー」がインスパイアする形で本編に取り入れたり、人造人間マリアのデザインが「スターウォーズ」のC3POのデザインに反映されたりと、後世の映画界、そしてSF文化に与えた影響の数は計り知れない。

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この映画で描かれるディストピア社会の様子は、建設ラッシュによって発展を遂げる20年代初頭のアメリカの姿と、H・G・ウェルズの小説「タイムマシン」にヒントを得て作られたもので、その原作・及び脚本はラングの妻であるハルボウが執筆している。

ラングは映画の結末に関して、当初は労働者たちの勝利を描くつもりで撮影を進めていたが、興行的な理由から、ハルボウが提案した「頭脳(支配階級)と手(労働階級)の和解」を採用したものの、後にラングはその結末に関して「安易すぎた」と否定的な姿勢を見せた。

この映画が公開した後、世界恐慌社会主義の台頭と、資本主義社会に対して一石を投じる出来事が次々と現れることになるものの、結局は資本主義が勝利(という名の消去法)を収める形で、世界のあり方は今日に至る。だが、その繁栄の裏に押し込められた格差や差別が消えるはずもなく、富めるものは富み、飢えるものはとことん餓える。

支配階層が党首や王族でなく、資本家に変わっただけの現代社会は、いつかメトロポリスが描いた未来世界に到達するのか?その答えや解決法は、未だ出ていない。

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