その辺の趣味ブログ

主に映画の話しかしません。

好きな映画『狼は天使の匂い』

f:id:DeadPoetsSociety:20190731130610j:image

好きな映画の紹介でも。今回はルネ・クレマンの「狼は天使の匂い

フランスを代表する技巧派ルネ・クレマンが送る、不思議な雰囲気漂うサスペンスノワール映画の傑作。以下はあらすじ。

f:id:DeadPoetsSociety:20190731131114j:image

とある誘拐計画を企てた、しがない男たち。一時は成功したかに見えたその計画はやがて破綻をきたし、彼らを待っていたのは意外な結末だった……。

太陽がいっぱい」「禁じられた遊び」で有名な巨匠ルネ・クレマン晩年の代表作にして傑作。自身が引き起こした墜落事故が原因で、ジプシーたちから追われる羽目になった主人公トニーは、逃走の最中、偶然にも殺人の現場を目撃したことで、老獪な首領チャーリー率いる強盗団の一味に囚われてしまう。あとは殺されるのを待つだけの身であるトニーだったが、同じ屋根の下で過ごすうちに、次第に彼らとの間に奇妙な絆が生まれ始めて…。

f:id:DeadPoetsSociety:20190731131954j:image

雨の訪問者」と同じく、脚本にセバスチアン・ジャプリゾを据えた男たちの友情と犯罪を描いた本作は、2時間半近い上映時間中、最初の1時間半はアジトでダラダラと過ごす一味の様子を描くだけという、犯罪映画にしては異色(当時としては)ともいえる構造をとっている。だが、その間延びした空気感こそこの作品最大の魅力で、随所で挿入される子供時代の記憶や、哀愁漂う劇伴も相まり、物語は単なるサスペンスものというより、どこか寓話的なファンタジーとして映る。

愛しき者よ、僕達は就寝時間が来たのに眠るのを嫌がって、むずかっている年老いた子供にすぎない」というルイス・キャロルの格言の引用で始まるこの映画は、劇中で度々“遊び”に興じる男たちの様子から見て取れるように、全ては子供の遊びの延長として描かれていて、アジトで楽しげに計画を練るその様子は、まさに大人の秘密基地だ。そして、その遊びからの“卒業”を主人公に促す二人の人物が、どちらも女性というのも、いかにも現実的で面白い。

強盗団の首領を演じるチャーリー役のロバート・ライアンは、本作の撮影中ガンを押しての出演となり、ある意味では主役級の好演を見せてくれたが、この映画が公開された翌年の73年に亡くなった。

f:id:DeadPoetsSociety:20190731140352j:image

狼は天使の匂い [Blu-ray]