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主に映画の話しかしません。

好きな映画『茄子 スーツケースの渡り鳥』

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好きな映画の紹介でも。今回は高坂希太郎監督の長編二作目「茄子 スーツケースの渡り鳥

前作「アンダルシアの夏」から4年。自転車狂のあいつらが帰ってきた。今度の舞台は、栃木は宇都宮。ジャパンカップ開幕!以下はあらすじ。

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ヴェルタ・ア・エスパーニャ”の最終日前日に国民的英雄レーサーのマルコ・ロンダーニが自ら命を絶った。ぺぺのチームメイトのチョッチは、同郷レーサーであり親友でもあるマルコの死から、自らのレーサーとしての生活に疑問を感じはじめる。一方、ジャパンカップの舞台・宇都宮は地元の応援で盛り上がりを見せていた。レース前日、チョッチはポイントのために強いられる苦しいレース生活から来年で引退することをぺぺに告白する。しかし、ぺぺは「自分はポイントじゃなく、勝つために生きている」とチョッチの言葉に耳を貸さない。果たして、チーム・パオパオのレースの行方は?勝者は誰なのか?熱戦の火蓋が切って落とされる!

前作「アンダルシアの夏」が予想に反して評判が良かったために作られた大望の続編。4:3のスタンダードサイズ画面は16:9のワイドスクリーンに、上映時間もちょこっと増えて、おまけに作画は大幅パワーアップ。キャスト、スタッフ、主題歌引き継ぎ、今度の舞台は遠路はるばる日本は栃木。

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前回、レースを通して自分の人生や故郷と向き合い、一人孤独な戦いを強いられたペペだったが、今回は打って変わって、チーム・パオパオの一員として、時には己を犠牲に仲間を勝たせるチーム戦に挑戦していく。

基本的には個人競技のきらいがあるロードレースだが、チーム戦ともなるとテクニックや戦略、ペース配分、勝利の法則、その他諸々全く違ったものが要求される。“一人”か“二人”か違うだけで、ロードレースは全く別の競技へ変貌するのだ。

このチーム戦による熾烈な駆け引きが楽しい本作だが、本作の見所はなんといっても、チーム・ゴルチンコに所属するスターレーサー、ザンコーニの中盤における鬼気迫る怒濤の追い上げシークエンスだろう。

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圧倒的なまでの走りでもって、他を寄せ付けず独走するザンコーニだが、なぜかもう一周残っているにも関わらず、途中で棄権しレースを終えてしまう。このリタイアの理由は最後まで語られることはない(原作でも触れられない)のだが、これは要するに、志半ばで命を終えた亡き友マルコ・ロンダーニに捧げた追悼ランだったからだろう(冒頭の葬儀でもザンコーニがマルコの棺を担いでいる)。

自転車競技というのは少し変わっていて、スピードや順位が全てを決める、過酷でシビアなスポーツにも関わらず、競技中パンクや転倒によるハプニング等がライバル側に発生した際、攻撃の手を緩めて相手の復帰を待つという掟が存在している。

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個々の勝ちへの飢えや貪欲さが=勝利に繋がるこのスポーツは、意外にも共に走るライバル、チームメイト、サポートスタッフに対するリスペクト、仲間意識に溢れた、まさしく人生の縮図のような険しくも楽しい協調競技だ。

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